タントカスタムとタントの違いは内装と外装だけ!スペックは変わらないから見た目が好きな方を選ぼう!

年間自動車販売ランキングで常に上位に入るダイハツタント。

2016年度の国内販売台数は約14万7千台と、軽自動車では第2位、登録自動車を合わせても第4位にランクインしています。今回はそんな人気車種である「タント」とカスタムグレードである「タントカスタム」の違いについてみていこうと思います。

 

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タント誕生

ダイハツ工業から初代「Tanto」が発売されたのは、2003年11月。イタリア語で「とても大きい、はるかに」という意味の単語ですが、日本語でも「たんと」というと「たくさん」や「いっぱい」という意味でつかわれていますね。

その名の通り「軽自動車の限られた規格寸法内での究極のスペース効率」を実現し、現在の「軽トールワゴン」という新しいジャンルのカテゴリーを確立した車です。

それまでの軽自動車というとダイハツ「ミラ」やスズキ「アルト」などのように、コンパクトであることを全面に押し出した車が主流でしたが、この「タント」の発売以来トールワゴンジャンルの軽自動車がたくさんこの世に誕生しました。

ちなみに軽自動車の規格は日本独自規格で、

  1. 全長3,400mm以下
  2. 全幅1,480mm以下
  3. 全高2,000mm以下
  4. 総排気量660cc以下
  5. 乗車定員4名以下
  6. 貨物積載量350㎏以下

と「道路運送車両法」で定められています。

 

 

タントとタントカスタムの違いって?

「カスタム」というネーミングは、即ち「カスタマイズされた」という意味から来ています。タントカスタムは、「カスタマイズされたタント」であるという事ですね。

カスタマイズ(ユーザーの好みや使い勝手に合わせて、見た目や機能、構成といった製品の仕様を変更する事)の内容は車種によっても違いますが、ダイハツの場合はほぼ違う車種として認識されている事が多いようです。

一般的なカスタマイズといえば、エアロパーツを装着したり、マフラーやサスペンションを変えたり、シートカバーなどを付けたりというような「手を加える」的なものが多いのですが、ダイハツの場合はエンジンやシャシーは共通の物を使用していても、外観はだいぶ相違がある場合がほとんどであるのです。

では、どうカスタマイズされているのでしょうか?

タントのエクステリア

タント

圧倒的な室内空間を持ちながら、外寸は軽自動車の規格内にしっかり収め、「かわいい」イメージを持つ車です。全体的に丸みを帯びたフォルムで、実用性重視といった感じですね。

タントカスタムのエクステリア

タントカスタム

つりあがっているようなイメージのヘッドライト、ボンネットフードとは切り離されたフロントグリル、フォグランプを搭載した大型のエアロフロントバンパー等、丸みを帯びたイメージのタントの面影はほとんどありません。

言うまでもなく車の見た目を決めるのはフロントマスク。全く違う車といっても良いのではないでしょうか?

タントのインテリア

タント内装

色合いといい素材といい、ファミリーカーといった感じが伝わってきます。柔らかく家族を包み込むようなイメージですね。

タントカスタムのインテリア

タントカスタム内装

内装はブラック系でまとめ、シート表皮はスウェード調を採用。ファミリー向けというよりこだわりのインテリアという感じでしょうか。

スペックの違い

エンジン出力や燃費性能など、スペックにほとんど違いはありません。軽自動車という事もあり、スペックにそれ程差をつける事もないのでしょう。

インテリアやエクステリアの違いは、個性の違い。走行性能にはほとんど影響しないのです。それではなぜ「カスタム」が必要なのでしょうか?

 

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「カスタム」が生まれた背景

Tantoが発売された当初、軽自動車という非常に制限されたサイズの中で、室内空間をとにかく最大限に利用できる車として脚光を浴びました。

都市部の立体駐車場の乗り入れ制限、そのほとんどは車高155cmまでとされていました。立体駐車場に入らないサイズの軽自動車が果たして売れるのか?という予想を良い意味で大きく裏切った車です。

その裏には・・・「軽自動車はセカンドカーとしての所有」という事実があった事は明らかです。メインとしての自動車があるのが前提で、母親が子供を乗せて移動する専用のクルマとしてのニーズを完璧に実現していたのです。

子供を抱いて乗り降りする、チャイルドシートに子供を乗せる、子供が自分で乗り降りする、etc…。車名は「Tanto」でも、荷物を多く積む事を前提に作られた車ではないのです。

  • 車高が高く乗り降りがしやすい
  • スライドドアを採用し、大きな開口部を確保すると同時に狭い駐車場でも乗り降りが容易
  • 取り回しの良い軽自動車サイズで女性にも運転しやすい
  • ドライバーの目線も高く、周りが見やすい
  • 軽自動車の維持費は登録自動車に比べて割安、セカンドカーとして維持しやすい

これらの特徴を総合すると、子供を持つ家庭のセカンドカーとして最適な1台となったのです。

しかし、ダイハツはそれだけでは満足しませんでした。更にターゲット層を厚くしようと「カスタム」を発売したのです。

当初は、「子を持つ母親の中でもスポーティな車を好む層向け」と認識されていましたが、ダイハツの狙いはその先・・・「軽自動車はメインの車になり得る可能性がある」というところまで想定していたのだと思います。

「カスタム」の可能性

タントカスタムは確実にタントをベースに作られています。前述しましたが、エンジン・シャシーは同じものを使用しているからです。しかし骨組みは同じでも、肉付けが違えば仕上がりは大きく違ってきます。

私は、「タント・タントカスタム」の位置関係は、トヨタで言う「ノア・ヴォクシー」や「アルファード・ヴェルファイア」に近いものがあると思っています。

正直に言うと、660ccのエンジンで走る軽自動車にエアロパーツを装着したからといって、走りに大きな違いが出るとは思えません。

実用的ではなく、パフォーマンスとしてのカスタマイズだと思っています。パフォーマンス=個性の表現、自分が乗る車を実用性だけでなく個性を表現するものとして選ぶユーザーが増える事を想定していたんですね。

自動車市場を見てみましょう。2000年頃を境に、軽自動車市場に少しずつ変化が表れてきます。ファーストカーとして軽自動車を選択するユーザーが増えてきたのです。

西暦2000年頃の自動車市場は、登録自動車400万台に軽自動車市場180万台ほどでしたが、2016年の市場は、軽自動車はあまり変わらず180万台なのに対して登録自動車は280万台程度に落ち込んでいます。

「登録自動車が売れなくなった」という事よりも、「自動車が売れなくなった現在でも軽自動車は売れている」という事が注目すべき点です。

若者の車離れが激しいと嘆く自動車業界ですが、技術の追求で壊れない車・安全な車を作っているのですから保有年数が年々伸びていくのは当たり前の話です。

ユーザーから見ても、十分使用に耐えうる車を手放して新しい車に買い替えるメリットがなかなか見つからないのです。

そこで購買意欲を後押しするのが、「あの車は格好いい」というパフォーマンス性であり、最先端の機能であったりするのです。それを「カスタム」という派生グレードで作り上げたのでしょう。

しかし、「カスタム」に人気が出たあまり、その後の「カスタム」は一層奇抜なパフォーマンスを要求されます。それが今の「タント・タントカスタム」の外観の相違に繋がっているものと思っています。

 

 

まとめるとすれば?

ごめんなさい「同じ車」です。サイズも、重さも、性能もほとんど変わらないけど見た目が違う車です。でも他人との差別化、見た目の満足度を高めたいのなら最適な1台でしょう。インテリア・エクステリア共にほとんど相違しています。違う車種としても問題ないレベルでしょう。

新車購入時には30万円程高い「カスタム」ですが、売る時も10%ほど高く売れるのも事実です。人気車種であるうちは、下取額もおよそ10万程高くつきますので、「カスタム」という選択肢も候補に入れてじっくり考えて欲しいものです。

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