トヨタでは、ミニバンのジャンルで久しぶりの新車種としてデビューした「エスクァイア」。
ESQUIREとは、「様」や「殿」といった敬称で使用される語ですが、アメリカでは弁護士や領事を対象に使用され、イギリスでは所謂Gentlemanと考えられる人を対象に使用されます。
「Mr.」の上流階級版と言うようなイメージですね。
その名のように、高級感を持ち合わせたミニバンとして確固たる地位を確立してきたエスクァイアですが、ミニバンというとボディも大きく重量もある為に、燃費がイマイチなイメージもありますよね。
購入を検討するにあたって重要なポイントにもなる「燃費」の観点からエスクァイアを見ていこうと思います。
実際の燃費はどうなのか、ハイブリッドはやはり燃費が優れるのか……!?
その辺を詳しく紐解いていきます。
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エスクァイアの実燃費。ハイブリッドが意外と……
カタログ燃費
- ガソリン車ではFFで16.0km/L
- 4WDで14.8~15.0km/L
- ハイブリッド23.8km/L
口コミを元にした実燃費調査
- ガソリン車が14.8~16.0km/L
- ハイブリッドは17.0km/L
ガソリン車はほぼカタログ上の数値に並んでいるのに対し、ハイブリッドはカタログ数値を大きく下回る結果となっているようです。
口コミの数字だけ見ると、ガソリン車とハイブリッドの差が約1kmと小さく、ハイブリッドだからといってあまり良くないように感じますよね。
でもそれは、ハイブリッド車は運転の仕方で燃費にかなり個人差が生じる為、平均値を取った時に低い数字に落ち着いてしまっている可能性があるのです。
エスクァイアハイブリッドの実燃費が意外に低い理由

ここで少し話は逸れますが、トヨタ自動車のハイブリッドのシステムについて解説したいと思います。
ハイブリッド車とは、「燃費を良くする(燃料の消費を少なくする)ために2つの異なる動力源を持つ自動車」と定義されています。
現在は、ガソリンを使用して動力を生み出すエンジンと、電気を使用して動力を生み出すモーターが搭載されている自動車が主流となっています。
エスクァイアのハイブリッドシステムも同様であり、99馬力のエンジンと82馬力のモーターを組み合わせたシステムです。
- 発進時はトルクの高いモーターを使用し、
- 通常走行時は速度やアクセルの踏み具合に合わせてエンジンとモーターを切り替えます。
- 加速時には、エンジン・モーター両方の力を使用して力強く加速し、
- アクセルオフやブレーキを使用した減速時は、モーターを発電機として使用し、タイヤが回り続けようとする力を利用して発電を行います。
ここで燃費に大きく影響するのは②の通常走行時であり、これによって大きな個人差が生まれます。
同じ道路・距離を走行するにも、エンジンを稼働させるかモーターのみで走行するかは「アクセルの踏み方」によってコンピュータが判断しますので、個人差が大きく出るのです。
更に言えば、自動車のコンピュータはドライバーの運転を学習していきますので、加速好きなドライバーの車はエンジンを多用するようになりますし、控えめなドライバーの車はモーター走行が多くなります。
時間が経てば経つほど個人差が大きくなってくるというわけです。
ハイブリッドなのに、プリウス級の燃費が出ないのはなぜ?
代表的なハイブリッド車であるプリウスと比べると、モーターの性能の数値は同じですが車両重量はエスクァイアの方が220kg程重くなります。
運転した時に感じる自動車の力強さは、1馬力でどのくらいの重量を背負うかで決まりますから、プリウスが1馬力当たり約16.5kgに対してエスクァイアは約19.3kgと17%近く大きな重量を背負う事になります。
体重60kgの人が10kg太ったら、動くのがしんどくなるのは当たり前ですよね。
モーターのみで走行できる範囲がプリウスみたいな車と比べて小さくなるのも当たり前の話、ハイブリッド車としての感覚がプリウスと比べて落ちるのも当然の話です。
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ハイブリッドの燃費を上げるコツ
ハイブリッド車でカタログ値に近い燃費性能を発揮しようとすれば、運転の仕方にもコツがあります。
実際に運転してみるとわかりますが、なるべく簡単に説明します。
- 少々アクセルを強く踏んでも50km/hくらいまで一旦加速します。
- その状態でアクセルを1度完全にOFFにすると、エンジンは停止し惰性で走行しながら発電するモードに切り替わります。
- そこからはエンジンが稼働しない程度に弱くアクセルをON・OFF操作してスピードをコントロールする事で、モーター走行距離を延ばすことができます。
モーター走行距離が増えれば増える程ガソリンの消費量は少なく抑えられるので、その結果燃費の数値は向上するというわけです。
また、ある程度のスピードまで加速し、アクセルを緩めて惰性で走っている時などは発電して電気を蓄える大きなチャンスなのですが、この時にアクセルが少しでもONになってしまうと、発電モードではなくモーター走行モードになる為に逆に電力を消費してしまうのです。
効率よく無駄なく発電・消費を行う為には、この特徴を踏まえアクセルのON・OFFをしっかり使い分ける事が大事です。
要点
- 発電する時はしっかりアクセルをOFFにして発電する
- アクセルのONはなるべく繊細な調整でエンジン稼働時間を減らす
この2点を意識するだけでハイブリッドの燃費は大きく違ってきます。
同じ距離を走行するにも、エンジンを稼働させて走行するのとモーターのみで走行するのでは、「ガソリンの消費量が違う」のではなく「ガソリンを消費するかしないか」という差が生まれます。
0か100かの違いなので、普通のガソリン車より個人差は顕著に表れます。
4WDだと燃費ってやっぱり悪くなるの?
4WDについても少しふれておきましょう。
4WDは2WDに比べて燃費が悪いイメージがあり、カタログ上の数値も低いのですが、実際にはどの程度違うのでしょうか……調べてみた所……
実際の燃費は約1km/L少々の違いとなっています。
意外と燃費変わらないんだ!?と思った方も多いのではないでしょうか?それは4WDのシステムが関係しています。
4WDでも普段は2駆で走っている
エスクァイアの4WDは「アクティブコントロール4WD」というシステムで、通常路面走行時はFF状態で走行し、滑りやすい路面走行時やコーナリング時、発進・加速時に効率よく後輪にも駆動力を配分するというものです。
簡単に言えば、荒っぽい運転をしない限りほとんどFFで走行しています。緊急時や必要な時に4WDになるのです。
これは最近の4WDによく採用されるシステムであり、2WDと比べた時に燃費の低下が少なく抑えられるのが大きな特徴です。
このシステムの採用によって、エスクァイアの4WDの燃費はFFに比べて約1km程度少ないだけの数値を出しています。
4WD車は、その機構を搭載している事でFF車より約90kg重いわけですから、1km程度の燃費の違いは当然と言えば当然、大きな問題ではないように感じます。
【まとめ】
カタログ燃費
- ガソリン車ではFFで16.0km/L
- 4WDで14.8~15.0km/L
- ハイブリッド23.8km/L
口コミを元にした実燃費調査
- ガソリン車が14.8~16.0km/L
- ハイブリッドは17.0km/L
「やっぱりハイブリッドは燃費がいい」
「いや、ガソリン車とさほど変わらない」
ある意味、両方とも正解と言えるのではないかと思います。
口コミやインターネットの情報のみを参考にすればハイブリッドの恩恵があまりないように感じますが、それは運転の仕方で結果が変わってきます。
普通のガソリン車と同じような運転の仕方をすればあまり燃費が伸びないという事を踏まえたうえでハンドルを握るのなら、ハイブリッドならではの世界を見る事も可能でしょう。
エスクァイアのようにある程度車重のある車ほど、よりその差は明確になるのです。
ただ運転するのではなく、色々楽しみながらハイブリッドに乗る事でわかってくる事がたくさんあるかもしれませんね。
最後までご覧いただきありがとうございました。
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